24/2/29掲載

人が「営む」ランドスケープ資産

no.3-12「重信川かすみの森公園」

堤防と樹冠による囲繞性や,堤防の切目で川と遭遇する意外性が,この公園の特徴である。

村上 修一 / 滋賀県立大学

霞堤と呼ばれる2線堤に囲まれた平坦な園路を,木漏れ日の温もりとともに歩くと,河道側の堤防が姿を消し,そのまま河原へと至る。
所々が切れて不連続である堤防のことを霞堤という。急流河川においては後背地の氾濫水を速やかに河道へ戻す効果が,土木史の研究で指摘されている。
国土交通省が2020年に施策として打ち出した流域治水では,霞堤の保全が対策の一つに挙げられている。本公園は,旧来の霞堤を,地域住民,学校関係者,専門家を交えて,国土交通省が自然再生事業により公園として整備したものである。重信川左岸には,上流側の堤防と下流側の堤防とが200m程度の間隔をあけて並行し,両堤防の間には水路,池,園路,樹林,遊具広場,あずま屋,スラックライン場,駐車場が設えられている。

本来,連続堤防によって川は堤外地とされ,堤内地のまちと明確に分け隔てられている。しかし霞堤の場合,堤防の隙間をとおして川とまちとがつながることが期待される。川と密接な関わりのある営みを本公園では体感することができる。

大熊孝(1987)霞堤の機能と語源に関する考察:第7回日本土木史研究発表会論文集:P.257-266
村上修一(2022)不連続な2線の堤防の間にある公園緑地の空間的特徴-重信川の霞堤3例に対する現地踏査報告:都市計画報告集21(2):102-106
国土交通省四国地方整備局松山河川国道事務所(公開日不明)重信川の土木遺産マップ
https://www.skr.mlit.go.jp/matsuyam/river/img/dobokuisanmap.pdf:2024年2月13日閲覧