22/12/30掲載

人が「営む」ランドスケープ資産

no.3-7「深北緑地」

恐竜や船の巨大遊具が水に浸かる風景は、ユーモアとともに洪水から暮らしを守る公園の大切さを教えてくれる。

武田 重昭 / 大阪公立大学

深北緑地は、一般的な都市公園が持つスポーツ・レクリエーションの機能だけでなく、寝屋川水系の洪水被害を防ぐための遊水地としての機能を持つ。湛水頻度によって、3~5年確率のAゾーン、10年確率のBゾーン、30年確率のCゾーンの3つのゾーンに分かれており、この洪水調整機能が公園計画にうまく取り入れられている。湛水確率の高いAゾーンでは河内湖の名残を人工的に再現した深野池が減勢池の機能を有するとともに多様な生物だけでなく人が水と親しめる環境を提供している。またBゾーンには広い芝生広場が、Cゾーンにはスポーツ施設が設けられ、平常時のレクリエーション利用を支えている。さらに、分断要素になりがちなゾーンを区切る堤防は、スケボーなどの場としてもうまく活用されている。

平常時と湛水時の風景がうまく入れ替わることで、洪水対策のための存在効果と市民生活に根づいた利用効果とをあわせ持つグリーンインフラとして機能している。

①大阪府土木部都市河川課・大阪府寝屋川水系改修工営所・財団法人大阪府都市整備技術センター(1992):寝屋川治水緑地事業誌:大阪府土木部都市河川課
②大阪府公園・都市緑化協会(1994):府営公園の今昔:大阪府土木公園課
※湛水時の写真提供:大阪府