22/9/30掲載

人が「居る」ランドスケープ資産

no.1-9「有馬富士公園の市民参加型公園運営」

公園の魅力を最大限に引き出すパークコーディネーターの存在が、公園と地域をつなぎ、人々の豊かな暮らしの実現に寄与している。公園を支える彼等の光景に注目して欲しい。

嶽山 洋志 / 兵庫県立大学

1980年代の余暇時間の増大やライフスタイルの変容という社会変化の中でボランティアや市民参加によるまちづくりが発達、また兵庫県では阪神淡路大震災を経験し、公園を日常的に使うことの大切さを実感したこともあって、県立公園は市民参加型公園運営が求められるようになっていった。2001年に開園した兵庫県立有馬富士公園はその第一号であり、「夢プログラム」と呼ばれる市民による手作りのプログラムが展開されている。その内容は、園内の自然環境を活かしたプログラムだけでなく、環境管理活動や自然環境の調査活動など多様だ。近隣の県立人と自然の博物館と連携していることも、多様なプログラムが展開されている一要因となっている。さらに本公園には「有馬富士公園運営・計画協議会」が設置され、行政や管理者だけでなく、市民団体や博物館研究員など多様な主体が参画して運営に当たっていることも特徴である。

市民参加型公園運営の取り組みとしては全国的にも有馬富士公園が端緒である。

・藤本 真里・中瀬 勲(2006):兵庫県立有馬富士公園における住民参画型公園運営の課題と展望:ランドスケープ研究 69 (5),757-762
・藤本 真里,・中瀬 勲(2011):有馬富士公園運営・計画協議会の議論内容からみた住民参画型公園運営の課題と展望:ランドスケープ研究 74 (5),793-798