22/12/2掲載

実務家が見出すランドスケープ資産

no.14「昆陽池公園」

奈良時代の名僧、行基の指導のもと731年に農業用として造営したと伝えられる古い歴史を持つため池「昆陽池(こやのいけ、こやいけ)」を、1968年から伊丹市が都市公園「昆陽池公園(こやいけこうえん)」として整備に着手し、1973年に完成した。池に浮かぶ島は留鳥の楽園となり、また、秋から冬のかけてたくさんの渡り鳥も飛来している。公園面積は27.8haで、そのうち自然池12.5ha、貯水池4.5haとなっている。2010年には、農林水産省の「ため池百選」にも選定された。日常的に人の憩いの場となるとともに、生き物の憩いの場ともなり、市民に愛され親しまれている。

島の形状は日本列島となっている。伊丹空港から離陸後、上昇旋回すれば、左手眼下に、池に浮かぶ野鳥の国の「日本列島」を上空から眺めることができ、観光的な要素も備えている。公園を散歩している時は決して気づくことのない「日本列島」は、グリーンインフラとしての多機能性をもつ空間として存在感を示しており、空からの景色を楽しむ希少なランドスケープとして魅力的である。

阿部 浩之 / 環境設計株式会社