日本三奇でもある生石神社の石の宝殿は、その御神体の大きさに、まず圧倒され、生石神社から登った山の視点場より竜山石採石場が俯瞰できる。現在も採石されているため、訪れるたびに変化する景観が楽しめる。晴れた日には、姫路城大天守も望め、播磨灘、播磨平野も一望でき、信仰と採石空間の景観が楽しめる。
福井 亘 / 京都府立大学
播磨平野の一角に突如みられる山で、古墳時代から採石されたといわれる採石場が存在し、加えて「石の宝殿」としての信仰の場を包括した石の「場」である。この石の宝殿は、播磨国風土記に「大石」と書かれ、シーボルトの「NIPPON」にも記載されたほどに特徴的な形状であり、信仰の対象となっている。その周辺には「竜山石」の採石場として生活・生業が営まれ、固有の風土と信仰、生活・生業文化が創り出してきた空間となっている。採石による荒々しい岩肌が遠方からも確認でき、景観の広がりが見て取れる。現在も採石操業されていることから、日々変化し続ける生きた景観である。
石の宝殿は独特な形状を呈し、御神体として祀られ、周辺の採石場の空間と合わせて、石の景観を構成している。長い歴史を併せ持つ採石場として地域の固有性の価値は高いといえよう。