西川緑道公園の歩みには、大胆な公園整備が人々の意識変化と行動変容を促し、それがさらなる公園の改善に繋がるフィードバック効果が見える。周辺地域への波及も特徴的。近年の再整備では、周辺の市街地や公園との一体感醸成の試みが伺える。さらに2020年、西川と交差する県庁通りの車線の減少と蛇行、歩道拡幅、緑陰整備に着手。「水と緑のネットワーク化」に期待したい。
坂本安輝子 / 造園学会員(民間・研究部会員)
岡山市の中心市街地を貫く西川用水の両岸に整備された延長約1.9km、面積約3.2haの緑道公園。市街地に規模感のある水と緑を提供している。多様な景観を見せる区画が連なる。
1974年から82年度の間に、農業用水を活かして整備された。車社会進展のなか、用水沿い市道の車道を狭めての公園整備は当時としては画期的であった。時を経て、植栽の成長による暗さの改善や、市道を含む歩行者空間の快適性・回遊性向上を求める声を受け、2008年から約1kmの区間が再整備された。これは園路の拡幅・新設、植栽の見直し、車道幅縮小など市道とも連携した整備であった。その後、市道の歩行者天国化イベントなど、周辺地域との連携が活発化している。当初は約100種類38,000本(※延長にある枝川緑道公園0.5kmを含む)の樹木が植樹され、蛍も生息するなど豊かな動植物が基盤となっている。ただし、両側市道の通過交通による周辺地域との分断は課題である。
緑あふれる親水空間という真髄は堅持しながら、周辺市街地との一体感も獲得しつつある。市街地の景観向上に寄与しつつ、人々と関わりながら進化する公園の良例である。