近年頻発している記録的豪雨や河川堤防の決壊等の災害から、国民の安全を守るという最も基礎的な課題への対策として、堤防の補強整備があげられる。日本で最も支川の多い淀川では、昭和62年以降、これまでのコンクリート護岸を見直し、市街地側に盛土をし、幅を広げた穏やかな草地の斜面によるスーパー堤防の整備を進めてきた。河川に沿って続く穏やかな堤防は防災対策としての機能を大前提としつつ、河畔緑地やワンド、河川敷公園等と連続的で豊かな緑地環境の一体性を強めている。
京都、大阪という大都市の間においてこのようなダイナミックな自然環境が獲得されていることは景観的にも生態的にも高く評価できる。現在、河川環境の利用の多くは休日のBBQや一時的なイベント利用であるが、都心の貴重な河川空間としての市民の多様な活動や、地域の環境活動の関わりの舞台となるよう、環境のデザインやプログラムの組み立てが重要である。
幡 知也 / 株式会社現代ランドスケープ