22/7/26掲載

人が「居る」ランドスケープ資産

no.1-7「中之島公園」

かつて「東洋のベニス」と呼ばれた大阪の魅力を現在に伝える公園である。水都再生によって生み出された芝生広場の絶妙のアンジュレーションは、どこに腰をおろしても水辺の潤いを感じることができる。

武田 重昭 / 大阪公立大学

中之島公園で川面を眺めるパークライフは「水都大阪」を最も体感できる過ごし方だ。
中之島は近世より蔵屋敷が建ち並ぶ大坂の中心地のひとつであり、民衆の遊観地としても親しまれてきた。明治24年に公園に指定され、中央公会堂をはじめ、中之島図書館や大阪市役所などとあわせて、大阪のシビックセンターとしての役割を担ってきた。片岡安は中之島公園を「大阪市民の誇り得る水都の公園」と称しており、「愛都心宣揚の中心地たらしめたいと希望する」と述べている。

中之島公園は、今も昔も水都大阪のシンボルであり、市民の憩いやレクリエーション、そして大阪に対する誇りや愛着を育む場となっている。

①高橋理喜男(1961・1962)中ノ島公園の歴史的考察(その1・その2),造園雑誌25(2)17-25・26(1)19-26,日本造園学会
②片岡安(1939)大阪の理想的公園計画,公園緑地第3巻第12号16-18,公園緑地協会
③新建築家技術者集団大阪支部・中之島研究会(1972)水と緑と伝統のまち中之島