様々な視点場から沈下橋を眺めることで、四万十川や周辺の自然環境や集落との景観的な調和を感じることができ、沈下橋が四万十川流域の重要な景観要素になっていることが理解できる。また、水面に近い沈下橋での空間体験を通じて、水の美しさ、水への親しみ、様々な動植物との出会いなど、豊かな自然を体感することができる。
岡田 準人 / 大阪産業大学
四万十川は高知県西部に位置し、全長196km、流域面積2,186kmの四国最長の一級河川である。四万十川流域には現在60余りの沈下橋が存在している。沈下橋は、増水時に橋の破損を防ぐため、欄干のない構造をしている。沈下橋は、人や車などが行き交う生活道としてだけではなく、地域の人々の憩いの場や川の水や生き物と親しむ場、周辺の自然環境や集落との景観的な調和など、様々な役割を担っている。
四万十川流域の沈下橋は、地域の人々の生活や文化、景観や親水などの重要な役割を担っている。なお、四万十川流域の景観は、2009年に国の重要文化的景観として選定されている。また、高知県と四万十川総合保全機構(流域5市町で構成)が四万十川沈下橋保存方針を策定し、現在48橋(2019年2月1日時点)を保存方針の対象沈下橋として保存している。