23/5/29掲載

実務家が見出すランドスケープ資産

no.17「再度公園・外国人墓地」

緑豊かな六甲山を背景とした港町・神戸のランドスケープは、神戸の街を特徴づけ、市民のアイデンティテイになっている。六甲山の中心にある再度公園・外国人墓地は、都市公園として日本ではじめての登録記念物で、名勝にも指定されている自然環境と歴史文化が融合したランドスケープ遺産である。

明治期までの六甲山は、乱伐により夏でも雪が積もっていると評されるほど荒廃していたが、1902年に本多清六博士の指導のもと水源涵養・砂防を主な目的にした背山緑化が始まった。現在、最初に植樹が行われた再度公園の広場から修法ヶ原池の対岸に望む北側斜面は永久植生保存地として保存され、緑豊かなランドスケープを形成している。また、園内には明治期の神戸旧居留地にあった2つの墓地が統合された外国人墓地があり、近代神戸の黎明期に活躍した外国人の方々が埋葬され、緑の山々に囲まれた中で異国との交流の歴史文化を感じるランドスケープを形成している。

広脇 淳 / 神戸市役所