22/11/30掲載

人が「愛でる」ランドスケープ資産

no.2-8「名勝・慶野松原」

落ち葉掻きや下草刈りで形成される「砂紋の美」も魅力のひとつ。
白砂青松の風景美を支え続ける、地元住民の維持管理にも注目してほしい。

嶽山 洋志 / 兵庫県立大学

慶野松原は、約5万本のクロマツが生い茂る白砂青松の松原である。1928年に国指定文化財の「名勝」に指定され、全国でも芸術上あるいは観賞上の価値が高い地域とされる。古くは柿本人麻呂らによって「万葉集」にも詠まれた景勝地で、名勝指定されている松林の中でも、樹高・枝下高・葉群高が低く、胸高直径・樹冠直径が大きい「横長」の樹形が特徴とされる。また冬の西風を防ぐ防風松林としても機能しており、三原平野の農業にとっては欠くことの出来ない存在となっている。

地元住民による落ち葉掻きや下草刈りが連綿と行われ、さらに松林だけでなく砂浜の海浜植物やチドリなどの動物の保全も行われている。地元住民の継続的な保全活動によって、白砂青松の景観が維持されている。

浅見佳世・赤松弘治・松村俊和・辻秀之・田村和也・服部保(2003)松原の植生景観の保全に与える管理の影響, ランドスケープ研究66(5), 555-558
藤原道郎・岩崎寛(2006)名勝としての海岸マツ林を構成するクロマツ個体の分布, サイズ構造および被陰状況, 景観生態学10(2), 81-88